中世社会は社会の隅々まで仏教が浸透し、呪術的な信仰が残存する反面、合理的抽象的論理が求められていた。律令国家の時代には主に史官、大学の博士や宮中祭儀の担い手であった祭祀系氏族が担い手であった『日本書紀』解釈は、王朝国家体制のもと、次第に密教僧や歌学者、各神社の神人に移り、仏教思想を基盤とした神話の再解釈が行われ出した。
例えば、『高野物語』など密教関連の書物では、天岩戸神話を、衆生本覚の悟りを煩悩の「長夜」が覆い隠していたところを、大日如来の光明により南天竺の鉄塔が開く(仏性を得る寓意)様を著したものと解釈する。更に『古今和歌集序聞書三流抄』に『竹取物語』を「日本紀にいふ」と記されるなど、原本にない説話を『日本書紀』にあるように記載する書物も現れた。
『太平記』によるとヒルコは西宮大明神であるという。この説は代々『日本書紀』の解釈を家業とした卜部氏の卜部兼員が語ったものだとされている。また、『平家物語』、『源平盛衰記』、『古今和歌集序聞書三流抄』、『神道集』などでは、摂津国に流れ寄り「夷三郎殿」となった、天照大神により西宮を与えられたなど、ヒルコ=えびす説が広がりを持って語られている。
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新羅の僧・道行が熱田神宮の神剣天叢雲剣を盗み新羅に持ち帰ろうとしたとの『日本書紀』の逸話(天智天皇紀)も、大江匡房の『筥崎宮記』では、自ら道行から何度も逃げた天叢雲剣が逃げられなくなったとき、阿弥陀如来の垂迹である宇佐八幡が道行を蹴殺して草薙剣を奪い取ったことになっている。同様の話が『平家物語』にも見え、こちらでは熱田明神が住吉大明神を討っ手に道行を蹴殺したことになっている。
また、『平家物語』や『愚管抄』などでは、安徳天皇はヤマタノオロチの転生であって、オロチが奪われた自らの宝剣を奪い返して竜宮に持ち帰ったという。これを受けて『太平記』では、承久の乱以降に武家の権力が強く皇室の威光が衰えたのは宝剣が海底に沈んでいたからであるとし、天照大神が龍宮に神勅を下して、伊勢の浜に宝剣を打ち上げさせたとしている。